


「菓子は人間の生活に欠くことのできないものである」。ヨックモックの創始者である藤縄則一は、戦後、原材料の確保に苦労しながらも、つくった菓子が、人々に喜びをもたらすのを目にし、こころ打たれたといいます。ここに、生涯を菓子づくりに生きた藤縄の原点があります。
菓子には、人を笑顔にする不思議な力があります。だからこそ、私達はたくさんの人々においしい菓子を届けたい。そう願い、まごころを込めた菓子づくりを信念としてきました。食べる人の喜ぶ顔を想像して、こころを込めてつくる。これなくして、「おいしい」菓子はつくれません。

菓子においしさをもたらすのがまごころならば、では、いかにしたら、創る人がまごころを込めることができるか。その基本となるのが、「良い環境である」という考えです。
おいしい菓子づくりには、清潔で衛生的な環境が必要ですが、設備だけが整っているのでは充分とはいえません。美しい自然環境の中で、ゆったりとした気持ちで働くことができる。これがとても大切です。
ヨックモックは樹齢300年以上の大杉が続く栃木県は日光市の例幣使街道沿いと、鮎釣りで知られる清流、思川のほとりで菓子を創っています。美しい自然に囲まれた工場で私たちは「自然から授かったものは、美しい形で自然へ返さなければならない」と考え、工場設立当初から、排水対策や工場の緑化、美化に力を入れ、自然との調和をはかってきました。

「菓子づくりにはロマンがある」と語っていた藤縄。ちょっと「シガール」を思い浮かべてください。あの葉巻のようにクルっと巻いた形状は、壊れやすい薄い生地に強度を与えるために生み出されたものです。そして、私たちが「黄金のバランス」と呼ぶ配合。通常、クッキーの原材料のトップは、小麦粉と思われるかもしれませんが、シガールはバターが一番。次いで、卵白、砂糖、小麦粉の順。「豊かな風味とサクサクとした軽い口当たり、そして繊細な口溶け」。こうしたシガールのおいしさを表現するのに試行錯誤を繰り返し、ようやく到達したのが、この配合です。
シガールが誕生した1969年当時、コストや流通経路の関係から、バターをたくさん使うことは不可能と考えられていました。が、「本物のおいしさ」をもつ高級クッキーをつくりたい、という藤縄の高い志と強い意志の力が、バターをふんだんに使った理想とするクッキーを完成へと導いたのです。「菓子は製造するものでなく、創造すべきもの」との思いが、本物のおいしさという“品質”を創造したのだと思います。ここに込められた熱い情熱。これはいまも変わることなく、ヨックモックに息づいています。

スウェーデンの北部、北極圏の線上にある、森と湖に囲まれた小さな町JOKKMOKK。